令和3年度より本格的に協会の活動がスタートします。4月25日(日)に協会設立シンポジウムをオンラインで開催いたしました。事前に大学関係者など156名の申込みがありました。
来賓挨拶では、文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室長である前田幸宣様からご挨拶をいただきました。大学入試や高大接続を巡る課題が多い中、本協会設立に関するご期待等についてお話を頂戴いたしました。
設立挨拶では、本協会理事長の木村拓也(九州大学)から、「大学アドミッション専門職協会の設立背景と理念」と題し、「大学入試」よりも広い事柄を包含する「アドミッション」の専門職団体を設立する意義等について説明がありました。入試業務の機密性ゆえに、孤独で、しかも失敗が許されないというプレッシャーを感じているアドミッションオフィサーにとって、「業務の羅針盤(と学外同業者との連携)」となるような協会が求められていることなどについて言及がありました。

基調講演①では、池田輝政(協会最高顧問)は、「なぜどのようなアドミッション専門職が必要とされるのか」のテーマを、大学入試センターが1995年に開催した国際シンポジウム「21世紀に向けての大学入試」にそって展開しました。当時の基調講演者の示唆を踏まえ、大学入試制度にかかわって形成されたイメージとしての「伝統」を問い直すこと、各国の知恵を学びつつ新たな高大接続の仕組みづくりに挑戦すること、そしてその責務の一翼をアドミッション専門人材が担いうること、についてお話を頂戴いたしました。
続いて、協会の活動予定に関しまして、理事長の木村拓也からは、2委員会・6部門からなる協会の組織体制等について、また、大学アドミッションにかかる賞の設立や、研修と連動した初級資格、上級資格の創設、常務理事の山本以和子(京都工芸繊維大学)からは、事業企画部門や交流部門が検討している今後の会員間の交流等について、常務理事の立脇洋介(九州大学)からは、大会実施部門にて毎年8月後半の土日での開催を予定している年次大会等について、理事・事務局長の植野美彦(徳島大学)からは、正会員(高等教育機関での大学入者選抜に関する研究・実務に携わっている個人)の入会方法等や、検討中の「賛助会員」制度について説明がありました。

休憩の後、基調講演②では、本協会名誉会員の高木繁(名古屋工業大学)より、「アドミッション・ゼネラリストとしての25年―アマチュアからプロフェッショナルへの道程―」と題して、全国に先駆けた「出前」授業の展開や、機関や設置者の壁を越えた大学間連携など、アドミッション業務開発の貴重な経験談についてお聞かせいただきました。また、「個別試験の入問題こそが、アドミッション・ポリシーを最も明確に示している」との考えに立てば、入試の結果としての学生の特徴を学部・学科に伝えるのがアドミッションオフィサーの責務であり、ご自身も入試結果と実際の学生との差を実感するために多くの授業を担当されてきたこと等、アドミッションオフィサーとしてのプロフェッショナリズムとも言うべき思考や実践についても語っていただきました。

閉会挨拶では、本協会常務理事の西郡大(佐賀大学)から、アドミッションの現場の専門知を高めていくとともに、所属大学を超えたネットワークを創出するために、多くの方にお力添えいただくことが大切であることについて言及がありました。